The Story of a Masterpiece

約40年前、白地に赤や青のボーダーが特徴的なマリンスタイルのシャツが日本に登場し、瞬く間にファッショナブルなフレンチカジュアルウェアとして人気を博しました。その後も流行に左右されることなく、洗練されたデザインと高い品質で男女問わず幅広い世代に支持され続けるブランドがあります。それが、フランスのアパレルブランド「セントジェームス」。 セントジェームスは1889年に創設されて以来、長袖・ボートネックの原型モデルを保ち、高品質な製品を提供し続けています。 今回は、セントジェームスが長年にわたり愛されている理由を紐解いていきます。

135年変わらぬ品質
セントジェームスの歴史と技術

セントジェームスの代表的なコットンシャツ「OUESSANT（ウェッソン）」は、135年の長い歴史の中でほぼ原型を保っています。現在は少しゆったりなサイズが人気を集めるなど、サイズのトレンドは時代と共に変化しますが、素材や縫製技術は1889年の創業当初から変わっていません。なぜ、創業当初からの素材と縫製技術をそのまま受け継いでいるのでしょうか。それは、縫製技術の高さにありました。

セントジェームスは、フランス北部ノルマンディー地方にあるセントジェームス市で創設されました。産業革命後の19世紀の半ば、アトリエでの手仕事であった紡績、染糸業は、当時のセントジェームス市長によって工業化され、地域の主要産業となる繊維業の一端を築きました。そこからカジュアルウェアとしてさらなる発展を遂げましたが、伝統的な手法によるものづくりの精神は変わることなく、現在まで引き継がれています。

その業績が称えられ、セントジェームスは2013年にEPVラベルを取得しました。このラベルは、フランス政府が伝統的な技術と品質を認めた製品に対して付与するものです。「EPVラベルがあることで、お客さまにより安心していただいていますね」と西宮ガーデンズ店で店長の深栖さんの話から、技術の継承と品質へのこだわりが、多くのファンを魅了する理由なのだと感じました。

セントジェームスの製品の優れた点は別のところにも。たとえば、来店したお客さまには「洗濯時に水を含むことで網目が凝縮し、着丈・袖丈ともに縦に2cm前後縮む傾向にありますが、縫製技術が高く、よい品質の素材を使っているから首の部分はよれず、全体の型も崩れにくいため、長年愛用しているお客さまも多いです」と洗濯により縮んでしまうデメリットを伝えつつ、「着る度に自分の体に沿うように馴染んでくるため、ずっと着ていくと色落ちもしてよい変化を楽しめます」と話す深栖さん。15年以上愛用しているお客さまもおり、セントジェームス製の耐久性の高さが伺えます。

また、西宮ガーデンズは4年連続でディベロッパー大賞を受賞しており、街のブランド価値も高まって流行に敏感なお客さまが頻繁に訪れるようになりました。セントジェームスにも、ブランドの背景や製品の詳細を詳しく知りたいお客さまが日々来店しますが、多いのは「太って見える、似合うかわからないけれど挑戦したい」というボーダーに対して苦手意識を持ちつつ、挑戦への意欲がある方。「配色や生地、形もさまざま用意してあるため、お客さまに似合う1着が必ずあると思い接客しています。お客さまの話をしっかり聞くことを心がけています」と深栖さんは言います。さらに「ボーダー柄に苦手意識を持っていた方が実際に手に取り、試着して『意外と合うかも』と喜んでくださる。お客さまのファッションの幅を広げられたときが、一番やりがいを感じる瞬間です。」と続け、このような丁寧な接客と品質の高さがお客さまの満足度を高め、リピートにつながっていると感じました。

染色方法から伺える環境への配慮
エシカルなブランドとコラボも

セントジェームスは、環境保護の観点から染色方法にもこだわりを持っています。EPVラベルを取得したセントジェームスの製品でさえ洗濯すると色落ちするといいますが、それは安全な原料を使用しているから。濃度の高い染色液を使えば色落ちを防ぐことができますが、環境に悪影響を与えてしまいます。そのためセントジェームスは低濃度の染料を使用しており、これが色落ちの原因となっているのです。染色工程においても環境への負荷を最小限に抑えるための取り組みを行い、お客さまに安心して使用してもらえる製品を生み出しています。

さらに環境保護の一環として、「UBAC」というリサイクル素材を活用したシューズブランドとコラボレーションしています。シューズのインソールにセントジェームスのコットンシャツの切れ端を利用し、製品の売上の約1％をフランスの環境保護団体である鳥類保護連盟に寄付することで、環境保護活動に貢献しています。

過去には、フランスの文科省文化財センターとのコラボレーションも実施。定番のコットンシャツに凱旋門のモチーフをデザインした限定アイテムを販売し、販売利益の一部をフランスの建造物の維持・保全に利用するなど、セントジェームスの環境への取り組みは多岐にわたります。 セントジェームスの製品は時代を超えて愛されるデザインと品質が特徴であり、それが多くのファンを生む理由だと、取材で明らかになりました。在庫がなくなれば販売を終了するカラーもあるため、来店前は西宮ガーデンズHPのショップニュースをチェックしてみてくださいね。

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